スー・グラフトン/死体のC

 仕事だからで、済ませられない事がある。損得なんて関係ない、この事件だけは解決してみせるとキンジーが挑んだ一冊。



◆制作
原題:"C" Is for Corpse 1987年 アメリカ 早川書房

◆あらすじ
ボビーとは週の初めに出会い、週の半ばには彼は死んでいた。「誰かがぼくを殺そうとしている」という彼の言葉どおりになり、誰も犯行をくいとめることができなかった。ボビーは富豪の息子で、ひどい交通事故のあと、わたしと同じヘルスクラブに通っていた。

事故を殺人未遂と主張しても、警察にはとりあってもらえず、好きだったボビーの為、きんじーは事件の謎を追った。

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ビーとキンジーの友情がほんわかする。気が合うというのは大事な事。そういう心地いい繋がりがいつまでも続くと思いたい。

同じクラブで汗を流す友達。が、知り合って間もなくボビーは亡くなる。歯ぎしりするほど悔しい。もっと打つ手はなかったのか。そういうキンジーの気持ちが痛いほどわかる。

大事故にあったのに、ボビーは、ひねくれても落ち込んでもいなかった。それどころか、犯人を捜そうとしてた。富豪の息子を鼻にかけるわけでもなく、恨みをかうとは思えないが、人はどこで恨みをかってるかわからない。

大好きだったボビー。そのボビーを殺した犯人を必ず見つけてやる。事件を解いて、ボビーに報告する。阻止は出来なかったけれど、せめてやれる事はやろう。友を殺した犯人を追い詰める為、キンジーは必死で事件に挑む。

1作目で、キンジーの生活ぶりや恋愛が描かれ、2作目では、キンジーの仕事ぶりや交友関係が描かれ、そしてこの三作目では、キンジーの友を思う優しさやあたたかさが描かれている。

どんどん、キンジーという人(キャラ)が見えてくるのがシリーズものの面白いところ。
主要登場キャラも、お馴染みになってくると親近感がわく。一話完結なので、どれから読んでもいいんだろうけど、最初から読み始めた方がすんなり入れそう。

友達を思うキンジーのあたたかさと人を殺す犯人の冷たさ、自分勝手さの対比が、面白かった。