R.D ウィングフィールド/クリスマスのフロスト

 ミステリーチャンネルでもやってたフロストさん。おじさんだからこそうけるキャラなんだろうな。

クリスマスのフロスト (創元推理文庫) (創元推理文庫 M ウ 8-1) - ウィングフィールド,R.D, Wingfield,R.D., 芹澤 恵
クリスマスのフロスト (創元推理文庫) (創元推理文庫 M ウ 8-1) - ウィングフィールド,R.D,

◆制作
原題:Frost at Christmas 1994年 イギリス 東京創元社

◆あらすじ
ここ田舎町のデントンでは、もうクリスマスだというのに大小様々な難問が持ちあがる。
日曜学校からの帰途、突然姿を消した8歳の少女、銀行の玄関を深夜金梃でこじ開けようとする謎の人物。
続発する難事件を前に、不屈の仕事中毒にして下品きわまる名物警部のフロストが奮闘する。

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何故、フロストが好きなのか。多分、自分を知っていて、その自分の正直だからだろうと思う。そして、それは他のキャラにも言えるんだろうな。フロストが一番その傾向が強いけど。

デントン署の署長は、上昇志向が強く野心家で規則が大好き。きちんとしてなきゃ気がすまない。彼の関心事は事件の行方でも犯人逮捕でもなく上司の顔色。その顔色を良くする為に、犯人逮捕は不可欠。その犯人逮捕にはフロストが必要。例え、毒舌で下品でイライラさせる人物だとしても。

フロストは署長とは全く逆。上昇志向も野心も優先事項の下の方。細かい事も規則も苦手。ひらめきはピカイチな行動派。おかげで書類は山。お腹がすいてれば人の食べ物すら失敬してしまう。彼の関心は事件。被害者の悲しみに胸を打たれ、必ず事件を解決しようと骨身を惜しまない。署長とは合うはずもない。

が、誰しも合う人とばかり仕事をしてるわけじゃないので、フロストが署長を煙にまきそれに他の署員も時々賛同してしまう、ガキ大将のような痛快さがフロストにはある。


勝手な奴と思われるけど、実際我がままなのだけど、毒舌でやり返されても本気で怒らないのは、自分を偉いと思ってないから。欠点だらけだと知ってるから、自分一人で何もかもしようなんておごったりもしない。書類仕事は苦手でもやった方が生きやすいだろうけど、生きにくくても苦手なものは苦手。だから部下も同僚もフロストに文句を言う。逆に言うと言いやすい人なのだ。文句を言いながらしぶしぶとはいえ手を貸してくれる。フロストさんって愛されてるのよね。

そうやって周りの人が手を貸してくれてる事を彼は知ってる。だからフロストは自分に出来る事をする。ジタバタと駆けずり回り毒舌を吐きイライラしながらみんなに迷惑をかけて突っ走り、そしてそれを無駄にしない。必ず事件解決に結びつける。おじさんは結果を出すのだ。そして、結果を出すのは、被害者の悲しみに胸が痛むから。

根は悪くないのだ。セクハラめいた発言があっても、そうでもしてないと耐えられないのだ。責められない。責められないが、かなり迷惑。憎めないだけにたちが悪い。周囲もそれがわかるから、彼の部下はみんな彼を尊敬してる。いいキャラクターだな。