ミネット・ウォルターズ/氷の家

ダニエル・クレイグさんが出演でドラマ化されてたな。

◆制作
原題:The Ice House 1999年 イギリス 東京創元社

◆あらすじ
その氷室は十八世紀に小丘を模して造られた。冷蔵庫の出現にともない保冷庫としての役目を終えていた。そんな氷室で死骸が発見される。胴体は何ものかに食い荒らされた、無惨な死骸だった。

氷室があるストリーチ邸には、三人の魔女と呼ばれる女性達が暮らしていた。
そしてこのストリーチ邸では、数年前にも事件があった。これは誰なのか。ストリーチ邸に関わりがある人なのか。

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読み始めは、氷室で発見された男性が誰なのか、が焦点になる。情報に振り回される刑事。
それと同時に、過去の事件がよみがえってくる。過去の事件の容疑者は、今回と同じで3人の女性。

村人達は彼女達を魔女と呼び、恐れ軽蔑し付き合わない。そんな中、密かに交流している数人の村人。両方の話からは、明らかに違う印象の女性達の姿が浮かび上がる。

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過去の事件の時、報道が過熱したこともあって、今回の事件も報道が過熱。
担当しているのも同じ刑事。だが、今回はその刑事の下で働いている部下が謎を解く事になる。彼には、上司のような偏見がなく、女性の一人とは恋仲になっていく。
(ちなみにこの恋仲になっていく刑事を、ダニエル・クレイグさんがやってた)

村人が噂話に惑わされて女性たちを退けても、それに負けない女性達の必死の強さが好き。
噂話に偏見が重なって集団で女性達を襲う村人。これが怖いんだよな。
後で誤解だとわかって、バツの悪い思いをする人たち。

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3人の魔女といわれる女性達の一人が、自分を貫いて強い女性だけど、恋愛になるとコンプレックス満開ですごく可愛い。この人がダニエルさんの恋の相手になるキャラ。

最初の事件も解決されるのだけど、偏見、恋愛、子供を思う母、母を思う子、夫婦の諍い、セクハラ、事件の謎。これでもかーってぐらいいろんな要素を組み込んでるのに、難しくも複雑でもなく、自然に物語りに引きこまれる。

この作家さんを教えてくれた人に感謝だな。