シェイマス・スミス/わが名はレッド

 どっかの番組で取り上げられてて、手に取った1冊。

わが名はレッド (ハヤカワ・ミステリ文庫) - シェイマス スミス, Smyth,Seamus, 恵, 鈴木
わが名はレッド  - シェイマス スミス

◆制作
原題:Red Dock 2002年 アイルランド 早川書房

◆あらすじ
犯罪組織を裏で操る男レッド・ドック。幼いころ親に捨てられた彼と弟は、荒れた修道院で凄惨な少年期を送る。やがて弟は非業の死を遂げ、彼は誓った。俺の人生を破壊した奴らを皆あの世に送ってやると。

20年後、レッドは誘拐した警官夫婦の赤子を利用し、親族への復讐を開始。誰も予想だにしなかった究極の犯罪計画がついに幕を開ける。

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レッドっていうキャラは、好きだったな。出来れば最後までクールでいて欲しかったけど、
最後も納得できない事はない。
ただ、途中で明らかになるレッドの過去は、最後の最後まで語らない方がよかったんじゃないか。レッド自身が語らない方が、クールだった気がする。

彼が淡々と計画し淡々と実行し、予定が狂う事も楽しんでさえいる風な方にしておいて欲しかった。彼の苦しみや悲しみは、彼にしかわからない事はレッドも知ってたはずだし、そういう突っ走り方をレッドは20年に渡ってやってきたわけだし。

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レッドと同じところにいた絵を書く少年。彼の事がもう少し出てもよかったんじゃないか。そしたら、レッドの心情が増幅される気がする。

同じ修道院での話だと、マグダレンの祈りを思い出すけど、あれは院内での話だった。その後も少しは書かれてたけど、実話だけにその後をあまり詳細に書く事は出来ない。
というか、あれだけでも充分勇気のいる事だし。

レッドは、そこをフィクションで書いてる分、その後も描けてて切り口としては好きなんだけどな。とても読みやすかった。