京極夏彦/陰摩羅鬼の瑕

 内容はてんこ盛り。儒教、仏教、博物学、etc。相変わらず登場人物は楽しい。

文庫版 陰摩羅鬼の瑕 (講談社文庫) - 京極 夏彦
文庫版 陰摩羅鬼の瑕 (講談社文庫) - 京極 夏彦

◆制作
2006年 日本 講談社 

◆あらすじ
鳥の城に住む伯爵と呼ばれる由良氏は、4度の婚礼をあげ4度、花嫁の命を奪われている。白樺湖畔に聳える洋館「鳥の城」。その主「伯爵」こと、由良昂允(こういん)とはいかなる人物か。5度目の婚礼。彼女だけは守らなければ。

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姑獲鳥の夏と同じように、関口さんが語り部になっていて彼の目を通して見るので話に入りやすい。他の作品ほど、事件に関わる人が多くないので犯人はすぐにわかる。わかっていて飽きさせない。否、わかっているからこそ、切ない気持ちになった。

関口も伊庭も山形も楢木も京極堂も、由良の叔父と甥もみんなが思う。何とかならないのかと。それでも、それを止める術はない。そこが切なかった。久しぶりに、感情を揺さぶられた。まいった。かなり好きな本だろうな。

他の作品より、関口さんの可愛さが出てる気がした。木場修や榎木津の人の良さも。 多分、この後の作品も読むんだろうなー。長いんだけどな、時々、長くてうざいぞと思ったりするんだけど、でも、この長さは必要だろうなとも思う。その長さを思ってうんざりしても、出たらまた読むんだろうなー。