サビーヌ・ダルデンヌ/ここから出して!―殺人犯に監禁された少女の告白

 マルク・デュトルー事件の被害者が書いた本。

ここから出して!―殺人犯に監禁された少女の告白 (ヴィレッジブックス) - サビーヌ ダルデンヌ, Dardenne,Sabine, 百合子, 松本
ここから出して!―殺人犯に監禁された少女の告白 サビーヌ ダルデンヌ

◆制作
原題:J'avais 12 ans,j'ai pris mon velo et je suis partie a l'ecole.. 2007年 ベルギーヴィレッジブックス 

◆内容
12歳のある朝、自転車に乗って学校へ向かった少女は、見知らぬ男に誘拐されてしまう。連れていかれたのは、幅99cm、奥行き2m34cmしかない地下の隠し部屋。まともな食べ物も与えられず、その穴蔵から出られるのは、「受難の部屋」で男の性的虐待に耐えるときだけだった。

ベルギー中を震撼させた、連続少女監禁殺人犯に連れ去られ、生き延びた少女の激白。

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この本を読んだ時、とても驚いた。たった12歳の少女が生き抜くために知恵を勇気を振り絞ったこと。何気ない日常の風景が地獄に変わる事への恐怖。

 ベルギー人の自称電気工のマルク・デュトルーは、連続強姦犯として逮捕され13年の実刑判決を受けたが、模範囚で3年で出所したそうな。その後、6人の少女を誘拐し4人が死亡っしている。生き残ったのはサビーヌと最後に攫われた少女。最後の少女を攫う時に見られたことがきっかけで、事件は解決に向かう。

そんな男の地下室で12歳のサビーヌは、正気を保つ工夫をし必死に生きようとする。あまりにも辛く賢い。そんなサビーヌの苦しみは、事件が終わったら終わりではなかった。

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セカンドレイプ、この言葉を知ったのはこの本だった。集まってくる報道陣、繰り返される無神経な言葉に傷つけられる。それも無神経だと気づかない人もいる。その度、繰り返される辛いだけでは表現できない記憶が蘇る。

誰を信頼したらいいのか、好きな人が出来ても体が拒否反応を起こす。事件に合わなければ。事件に合わなければ。いくら考えても彼女に落ち度はない。ただ、自転車に乗って学校へ行こうとしただけ。

マルク・デュトルー事件の裁判が始まった時、彼女は証人として出廷したそうだ。