グレッグ・アイルズ/血の記憶

 グレッグ・アイルズ5作目かな。

血の記憶(上) (講談社文庫) - グレッグ・アイルズ, 雨沢 泰 血の記憶(下) (講談社文庫) - グレッグ・アイルズ, 雨 沢泰
血の記憶

◆制作
原題:Blood Memory 2008年 アメリカ 講談社

◆あらすじ
ニューオリンズで連続殺人が発生した。被害者は全員が成人男性。全裸で無数の噛み傷。壁に残された血文字。女性歯科学者キャットは、歯形から犯人に迫ろうとする。

そして、この連続殺人が自分の個人的な部分と繋がっていると、気付き始める。事件の背後にある幼児虐待に気付き、キャット自身の幼少期を調べ始めた時、何者かに狙われる。

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読み始めた時はキス・ザ・ガールを思い出し、途中で惨劇の記憶を思い出した。すぐに犯人がどういうタイプなのか、ばれてしまったかな。犯行の特徴、キャットの状態、ヒントがそこかしこにありすぎた。

が、キャットの精神状態(双極性障害、循環気質)の感覚の描き方は、はじめて読んだ感じ。感覚的なものって、人によっても違うのかもしれないけど、アイルズに惹かれてしまうのは、こういう感覚を読ませてくれるからかもしれないなと思った。

虐待されてる方が、自ら仕向ける場合の心の動きみたいなのが書かれていて、納得出来た。そういう目線で考えた事がなくて、虐待が原因で自分を責めてしまったりすると、余計に悲しくなった。被害者が悪いわけじゃないのにと思うと、悔しいやら辛いやら。

アイルズの描きたかったものはこれかなって、勝手に想像したりしたりもした。アイルズはまだ楽しい。下巻、1日もかからずに読んでしまった。やられてしまった感じ。