タクシー運転手約束は海を越えて

光州事件と事件を追ったドイツ人記者と彼を乗せたタクシー運転手の話。


◆制作
原題:A Taxi Driver 2017年 韓国

◆キャスト
タクシー運転手キム・マンソプ(ソン・ガンポ)
ドイツ人記者ピーター(トーマス・クレッチマン)
タクシー運転手ファン・テスル(ユ・ヘジン)
通訳の大学生ク・ジェシク(リ・ジョンヨル)

◆あらすじ
ソウルのタクシー運転手マンソプは、通行禁止時間までに光州に行ったら大金を支払うと言われ、ドイツ人記者ピーターを乗せて英語も分からぬまま光州を目指した。
何としてもタクシー代を受け取りたいマンソプは機転を利かせて検問を切り抜け、時間ぎりぎりで光州に入る。

危険だからソウルに戻ろうというマンソプの言葉に耳を貸さず、ピーターは大学生のジェシクとファン運転手の助けを借り撮影を始める。しかし状況は徐々に悪化していく。
マンソプは1人で留守番させている11歳の娘が気になり焦るが、目の前に繰り広げられる光景を見て、ピーターを助けようとする。

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光州事件は、民主化を求める事件だったらしいのだけど私は知らなかった。この映画でもあちこちで軍が民衆を抑えようとするシーンがある。軍の発砲の中、周りの人々が病院に担ぎ込まれあちこちで被害にあった身内の人達が泣いている。

そんな中、マンソプは家の残している一人娘が気になる。当たり前だ。彼はどうしても無事に娘の元に帰らなければならない。が、目の前にいる被害を見てそれを報道しようとしているピーターをなんとか逃がそうと思う始める。私はあなたを送り届けると約束したとピーターを乗せ軍から逃げる。彼らを逃がそうと仲間のタクシー運転手が次々と軍の邪魔をする。それがうるっとくる。みんなが精いっぱい力を尽くして、彼らを逃がそうとする姿に胸が熱くなる。

そしてピーターを空港まで送ると、ピーターはマンソプに電話番号を書いてくれと言う。迷いながらマンソプは嘘の番号を書く。お菓子の缶にフィルムを収めそれをもって日本に旅出ったピーターは世界に光州事件を報道することに成功する。そしてその後マンソプに会いたいというピーターがテレビに映る。

が、実際の話はちょっと違うらしい。ただ、この映画が光州事件というものを知るきっかけになったのは間違いないので、これはこれでいいのではないかと思う。