群ようこ/アメリカ居すわり一人旅

あっという間に楽しく読んでしまった。


◆制作
1991年 日本 角川文庫

あらすじ
「アメリカに行けば何かがある」旺盛な好奇心と元気さにひきかえ、語学力と忍耐力がほとんどない。貯金をはたいて行ったアメリカの地。だが次々とトラブルが。あるがままに暮らしそこで目にしたものは。

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旅に行くのに、観光名所や美術館をめぐるという時もあるけど、そういうのとは別に自分の中のものを、見つめるきっかけになる旅の時もある。(気持ちのふんぎりとか整理とか、失恋旅行とかもそうかも)この本は後者なんだろうなと思う。

貯めたお金で行ったアメリカ。頼りの綱は叔母さんなのだけど、その叔母さんは最低限の仕事と寝る場所の段取りだけしてさっさと仕事でフランスに行ってしまう。英語があまり得意ではない彼女は、自分の力でがんばらなきゃいけなくなる。

いい旅だな。叔母さん好きだなー。家族に欲しいかは別としても。こういう旅って、何かが突然変わったとか悟ったとかそういう事はないだろうけど、今まで必要だと思い込んでたものが、なくても別にいいんだって気がついたり、逆にこれだけはなくてはならないなと気がついたりする気がする。

数日の旅では、そこで生活してる感覚はわからないんだろうな。向こうも数日ならよそいきの顔が出来る。そこまではお客様でいられる。けれど、数ヶ月となるとそうもいかなくなってくる。彼女が珍客からそうじゃなくなっていく過程が面白かった。会った人達が、だんだん素になっていくのも面白かったな。