ヨークシャーの切り裂き魔事件ー刑事たちの終わらぬ苦悶1話2話

連続殺人犯ピーター・サトクリフを追う捜査、全7話。母たちの悲劇。

The Long Shadow [l]
The Long Shadow [l] 


◆制作
原題 The Long Shadow 2022年 イギリス 

◆キャスト
ロン・グレゴリー(マイケル・マケルハットン)
ジョージ・オールドフィールド(デヴィッド・モリッシー)
ジム・ホブソン(リー・イングルビー)
デニス・ホーバン(トビー・ジョーンズ)
エミリ(キャサリン・ケリー)

1話あらすじ
幼い4人の子供の母親が惨殺死体となって公園で見つかる。警察は被害者が娼婦だった可能性を伏せたまま大々的に捜査に乗り出す。確実な手がかりは犯人が車に乗っていることだけ。不景気の中、経済的に追い詰められた屋根職人シドニーの妻エミリーは、酒場で娼婦と間違えられたことをきっかけに道端に立った。幸せなクリスマスを迎えられた一家だったが、予想外の大きな出費を迫られたことでエミリーは再び道端に立つことにした。

2話あらすじ
エミリーの死体が見つかり、シドニーは警察に売春の件を打ち明ける。殺人者のニュースが流れるにもかかわらず娼婦たちは道端に立ち続ける。そんな中、マーセラという黒人女性が公園で後頭部を殴らた。警察は彼女の事件を連続殺人とは無関係と判断する。やがて3人目の犠牲者が発見され、手がかりとして車のタイヤ痕が見つかる。

***

4人の子供を育てる母が子供を愛おしそうにベッドへ寝かせ、家を出ていく。そして母は帰らずバス停で母を待つ兄弟の姿に辛い。デニスは娼婦が殺されたとされると事件への関心が薄くなるのではないかと思って、4人の子供の母が殺されたと報道させる。だが、刑事の中にも娼婦だから殺されたという風潮があった。人が殺されたという事件に被害者の職業は関係ないだろうと思うけれど、この時代はそういう時代なのだろう。刑事さんたちが話す被害者の話と、子供を寝かせる母の姿のギャップ。

屋根職人のシドニーの妻エミリーもまた気の毒。夫は自分では運転せず妻に運転させてパブへ行く。しかも嘘をついて。エミリーは怒るが音楽でも聴けとお金を渡されて諦める。フロアで踊っていると1人の男性にいくらだ?と聞かれて、自分が娼婦だと勘違いされたと知る。家には督促状、クリスマスも近いのにお金がない。エミリーは夫に数分我慢すればクリスマスを迎えられるといい、実際にそうする。たった1度のつもりだったのだろう。だが、その後夫の親族の結婚式で、娘にドレス一式をそろえなきゃいけなくなる。ドレスは中古でもという親族と夫、だがエミリーは新しいものを買うと言って、もう1度道端に立つ覚悟を決める。

その時夫が辛いと言い出し、それを聞いたエミリーは夫を平手打ちにする。はじめて街角に立った日、お金を握りしめて耐えるエミリー。督促状がきてお金がない事に頭を悩ませ、屈辱と体の痛みに耐え、子供たちにクリスマスプレゼントを買ったエミリー。夫は妻に車の運転をさせお金の工面をさせ、酒を飲んで泣くだけ。そりゃ叩きたくもなる。

これが酒も飲まず一緒に節約してがんばる夫なら、エミリーも娘のドレスは中古にしたかもしれない。娘に新しいドレスを買わないとエミリーが辛すぎる。どれだけ一人で我慢すればいいんだ。自分の酒は大事だが、娘や妻にお金をけちる男の為に。

この当時、不況だったらしい。もし、不況じゃなかったらエミリーは街角に立たず、死なずにすんだのかもしれない。2人とも自分の贅沢なんて願ってないのに悲しすぎる。

仕事を探して子守やメイドの面接を受けていたが雇って貰えなかった女性、最後にはとうとう体を売る事になった。そして3人目の犠牲者に。