ヨークシャーの切り裂き魔事件ー刑事たちの終わらぬ苦悶5話6話

  連続殺人犯ピーター・サトクリフを追う捜査、全7話。捜査側の消耗と女性達の心の声。

The Long Shadow [l]
The Long Shadow [l] 


◆制作
原題 The Long Shadow 2022年 イギリス

◆キャスト
ロン・グレゴリー(マイケル・マケルハットン)
ジョージ・オールドフィールド(デヴィッド・モリッシー)
ジム・ホブソン(リー・イングルビー)
デニス・ホーバン(トビー・ジョーンズ)

#5あらすじ
ジョージ・オールドフィールド宛てに届いた手紙が切り裂き魔からのものと断定される。警察は休むまもなく捜査するが、犠牲者の数は増え続ける。そんな時、ジョージ宛に音声メッセージのテープが届く。警察本部長はこのテープを公開する事にする。

#6あらすじ
肉声メッセージのテープ公開により市民からの通報が警察に殺到し警察は混乱を極める。ラプチュー刑事はサトクリフというトラック運転手に怪しさを覚えるが、テープの男の特徴であるニューカッスルなまりがないために上司に取り合ってもらえない。とうとうジョージは体調を崩す。リーズの女子大生ジャッキーが殺害され、仲間の女性たちが抗議のデモ行進を始める。

***

切り裂き魔だと名乗る男から手紙が来た。ジョージはハリソンという被害者の事を、この手紙で書いているので本物だと言う。ハリソンの件は公にはなっていない。被害者が多い娼婦がいる地域3か所で車が目撃された者を家まで訪ねて調べろとジョージは言う。3か所で目撃される人数は多くはないはずと。ジムは最初の責任者のデニスに会いに行く。デニスは事件を忘れた事はなく、彼なりにまとめた資料をジムに渡す。その後彼は亡くなる。ジョージは体調を崩していく。それだけ捜査側の人間も迷い苦しんでいるのが解る。警察には次々と情報が集まりファイリングされていく。たくさんの聞き込み、疑われる人達、増えていく犠牲者、終わらない仕事の時間。当時の混乱ぶりが伺える。

2話目で出たマーセラに協力者が現れる。あまりにも理不尽だともう1度訴えようと。そんな時に切り裂き魔の音声が公開され、マーセラの心が折れそう。

切り裂き魔の音声テープを公開するという本部長、今でさえ警察の電話が鳴り続けているのにテープを公開したらもっと混乱すると反対するジョージ、だが本部長も上から圧力に耐えかねて事件の解決を願い公開する事にする。

音声にはニューカッスルなまりがあり、取り調べで怪しいと思ってもなまりがないと外せというジョージ。ラプチュー刑事がサトクリフの家へ話を聞きに訪れる。ラプチュー刑事はサトクリフの足のサイズを聞くが、サトクリフは8.5と答える。ラプチュー刑事は似顔絵が似ている事などをあげ上司に話を通すが、なまりがないからと却下される。

ジョージは生き残った被害者に音声テープを聞いてくれという。被害者は違うと言うがジョージは切り裂き魔の被害者ではないのだろうと言い出す。筆跡鑑定をしている最中、送られてきた手紙の犠牲者の数が合わない事に1人が気が付く。これは偽物じゃないのかという話になって、どんどん証拠が危うくなっていく。そしてジョージも病に倒れる。女性警官が「事件に関わった人達の人生も傷ついていく。事件が終わってもそれは続く」みたいな台詞が印象的。

女子大生のジャッキーの母親は娘に一人にならないでねと電話する。ジャッキーは私も気をつけているから大丈夫と伝える。そんなジャッキーは収監者の支援団体の話を聞く会に出席する。その帰り道彼女は襲われる。ジャッキーの大学の女子大生たちは、ジャッキーを救えたはずと言う。10時に2人の学生が血のついたバッグを見つけ、警察に捜索を頼んでいた。でも警察は探してくれず、まだ生きていたかもしれないと思う彼女たちはデモを始める。

数年にわたり夜はびくびくして外出もままならず、娼婦ではないのに娼婦だと疑われ、例え娼婦だったとしても好きでなったわけではなく、不況と殺人鬼の恐怖と犯人が捕まらない事への不満と悲しみが、ここへきて一気に噴き出した感じ。
「夜を取り戻せ」「女たちは団結せよ」「安全が欲しい」「もううんざり」「男たちが家に籠れ」
5年は長すぎる、警察は信用できない、そういう報道を見ている女性警官達。辛すぎる。