口の上手い人っているんだよね。自分に火の粉が降りかからない限り、能天気にお節介をやく人達。知らない間に、自分が手を貸してるとも知らずに。それを考えると怖いなーと思う。
悪魔の声は優しく (扶桑社ミステリー) - グロリア マーフィー
悪魔の声は優しく (扶桑社ミステリー) - グロリア マーフィー
◆制作
原題: Till Death Do Us Part 1998年 アメリカ 扶桑社
原題: Till Death Do Us Part 1998年 アメリカ 扶桑社
◆あらすじ
女手一つで七歳の息子を育てているアンジェラの前に、悪魔が再び姿を現した。彼女は五年前、ラジオの人気DJである夫から母子ともども筆舌に尽くしがたい虐待を受け、夫は六年の実刑判決を受けた。今は穏やかに暮らしていたのに、その憎むべき男デクスターが予定より早く仮出所してきた。
彼は息子と会う権利を要求し、言葉巧みに周囲の同情も買った。そして陰湿に執拗にアンジェラたちにつきまとうようになった。
***
ラジオの人気DJ。人当たりが柔らかく話が面白く美青年。彼と話した人は、勝手に思い込んでしまう。きっと彼女が大げさなのだ。きっと誤解があったんだわと。人っていいように思いたいもの。それを利用されてしまう。出所してきてから、アンジェラの周囲をうろつく前夫。
反省してるんだ。彼女は許してくれないと思うけどまだ彼女を愛してるし何より子供にも逢いたいんだ。そういう彼に、周囲の人間は次々に騙されていく。あんなに誠実そうなんだもの。反省してるんだし、子供には父親が必要だし逢うぐらいはしてあげればいいのに。
でも、アンジェラに対しては君は僕から逃れられないよ。君と僕、周囲はどっちを信用すると思う?という信号を送る。
アンジェラにとっては悪夢。虐待の日々は恐怖感を植え付けたし、実刑に持ち込み離婚まで
もっていくだけでもかなりのものだった。もう1度、悪夢をよみがえらせる訳にはいかない。
まして子供がいる。そう思うと恐怖感は余計につのる。
必死に逃げ回るアンジェラ。仕事もそれまでの穏やかな日常も、たった一人の男に握りつぶされる。
信頼している友人さえ、前夫に彼女の居場所を話してしまう。挙句、話し合いなさいよ。あんな素敵な人もったいないわよ。彼反省してるわよ、等と言う始末。アンジェラの了解も得ず、勝手に判断する友人。こういう人っている。悪気はないんだろうけど、悪気がなきゃいいってもんでもない。
誰を信じたらいいのか。誰を頼ったらいいのか。誰も頼らずに、逃げ回る間の生活費を工面するのは難しい。女性が一人で子供を育ててきたのだから、それほどの余裕はない。このまま、前夫の手に落ちるのか。それとも。
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