角田光代/三面記事小説

これを読んでしばらく角田さんの本が読めなくなった。それほど胸に突き刺さったという事なんだろうな。


◆制作
日本 2010年 文春文庫

◆あらすじ
「私は殺人を依頼しました。恋人の妻を殺してほしいと頼みました」なぜ、姉夫婦の家は不気味な要塞のようになってしまったのか?

家出少年を軟禁する主婦の異常な執着心。「死んでしまえ」と担任の給食に薬物を混ぜる女子生徒。

誰もが滑り落ちるかもしれない、平穏な日常が音をたてて崩れてゆく瞬間、追いつめられていく様子が描かれた6つの短編。

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「愛の巣」「ゆうべの花火」「彼方の城」「永遠の花園」「赤い筆箱」「光の川」6つの短編。

どの話も、自分の望むものは得られてない。自分の望むものが、何なのかさえわからなくなってることもある。

ちょっと視点を変えれば、そんなに欲しなくてすんだかもしれない。そう出来ていれば、三面記事にのる事もなかったかもしれない。でも、それを責める事は出来ない。

彼らは怠けたわけでもなく、懸命に迷い考え生きてる。人ってなんて悲しいんだろうと思わせる。

「光の川」は凹んだなぁ。他人事じゃないもんなぁ。

しばらく角田さんの本を手にできなかったのは、目を背けていたい自分の醜い感情を突き付けられた気分になったからな気がする。自分でもわかってるから、わざわざ掘り起こして見たくないみたいな。それだけ突き付けられるというのは、心を揺さぶられたって事なので
いい作家さんなんだなとも思う。