切り裂き魔ゴーレム

 ロンドンで起きた事件の真相は。ブッカー賞(イギリスの文学賞)受賞。原作はピーター アクロイド。


◆制作
原題:The Limehouse Golem 2016年 イギリス

◆キャスト
リジー=オリヴィア・クック
リジーの師、ダン・リーノ=ダグラス・ブース
女優でリジーに頼まれてリジー家のメイドになるアヴェリン・オルテガ=マリア・バルベルデ
リジーの夫、ジョン・クリー=サム・リード(セバスチャン・リード)
事件を捜査する刑事、ジョン・キルデア=ビル・ナイ(アンダーワールド: エボリューション、パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト、あるスキャンダルについての覚え書き、他)
劇場支配人、アンクル=エディ・マーサン(おみおくりの作法、他)

◆あらすじ
霧に包まれるロンドンの街で、連続猟奇殺人事件が起こる。事件を追う刑事キルデアは、この人物が犯人であれば話は早いと判断し、この容疑者のひとりを殺害したという女の裁判に出向く。日記に殺人の美学を書きつづっていた脚本家である夫を、女優である妻が殺したというのだ。

妻が毒薬を仕込んだというメイドの証言により、妻は絞首刑に立たされる。しかし、裁判の過程を見守るうちに彼女の無実を確信したキルデアは、真犯人解明に乗り出す。絞首刑執行までに残されたわずかな時間で、夫殺しの真犯人、さらには連続猟奇殺人事件の真犯人像に迫っていくキルデア。その真相にキルデアが下した判断は。

***

勿体ない。もう少し整理されてるとわかりやすくてよかったかも。とはいえ、話の中の劇も楽しめたし、ストーリーも最後の最後の展開も好き。

最初はリジーが被害者に見えていた。メイドに不利な証言をされ夫殺しの犯人として逮捕される。リジーの過去が晒され死刑判決を受ける。

未婚の母のもと帆布を縫う仕事をさせられていたリジーは、届け先である船乗りの男性たちに虐待され、それを知った母に折檻され辛い幼少時をおくった。母が亡くなった後、劇場で雑用係として働き始めるが、事故死した俳優の代役で男装をして舞台に立つとコメディアンとしての才能を開花させた。

そんな中彼女に失礼な事をした男が亡くなり、劇場の支配人にヌードにされそうになりその男も亡くなる。その件で作家のジョンにプロポーズされ結婚するも、生活費はリジー持ち。その上、夫の相手をするのが苦痛でライバルの女優をメイドとして雇い、夫の相手をさせたら(失礼な話ではあるけど)夫はリジー主演の脚本を書いていたはずがやめたという。リジーには興味が無くなったと。

事件を捜査していたキルデアはゴーレムという猟奇殺人犯を追っていた。その候補は4人。その筆跡が証拠になると彼らの書いたものを探していた。だが、1人だけが見つからない。リジーの夫のジョンの筆跡。

最後の最後までゴーレムはジョンだと信じていたキルデア。リジーを助けようと必死に走る。その先でリジーの筆跡を見て全てが繋がる。

リジーはどこで狂ったんだろうか。幼い頃辛い思いをした。だが、舞台に立ち喜びを見つけたはず。その喜びにまで不幸な要素を求めた。相手を受け入れられなくなった時点で狂ったんだろうか。それとも生まれた時からその要素を持っていたんだろうか。

もう少しリジーの怒りや悲しみが出ていたらよかったなと思う。ダン・リーノ役がわりと楽しかったし舞台も美術も話の内容も好きだけど、見せ方が整理されてない気がして解りにくくて、感情移入がしにくかった。勿体ない。