ジェイムズ・パタースン/ジェニファーへの手紙

 「どんなに悲しい出来事があっても、愛は決して死なない」と帯に書かれていたラブ・ストーリー。



◆制作
原題: Sam's Letters to Jennifer 2006年 アメリカ ヴィレッジブックス

◆あらすじ
ダイビングの事故で夫を亡くし、その事で出来た心の傷がまだ癒えないジェニファー。そんなジェニファーに、最愛にして親友の祖母、サムが倒れたという知らせが入る。

ジェニーヴァ湖のほとりにあるサムの家に戻ったジェニファーは、サムからのたくさんの自分あての手紙を見つける。

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いい物語を書く作家は、どんなジャンルでもいいんだろうなという気がする。恋愛小説はあまり好きじゃないけど、パタースンの恋愛小説なら読みたいと思う。

パタースンは男性だよねと、確認したくなるぐらい。何故こんなにも女性の気持ちがわかるんだろう。好きな人の腕の中にいる時の、ここが私の居場所と感じる安らぎや失ったらどうしようと思うと、涙が出てきて止められなくなる気持ち。いろんな気持ちを、再確認したり思い出したりした。

恋愛小説だけど、この本に書かれているのはそれだけじゃない。どう生きていったらいいのか、サムは自分の生き方をジェニファーに見せている。それが、ジェニファーへの手紙。

ジェニファーの人生はサムとは違うものだけど、サムから受け取った生き方の道しるべをもとに、彼女らしい道を歩いていくだろう。

人生はハッピーエンドとは限らない。人は例外なく死んでしまうものだし、いい事ばかりが起こるわけじゃない。それでも生きているのはいい事。生きているのは幸せな事。