犯人の家族のDNA鑑定を通じて、未解決事件が解決した世界初のケースとなった事件がベースのドラマ。
Steeltown Murders [DVD]
◆制作
原題 Steeltown Murders イギリス 2022年
◆キャスト
監督(マーク・エヴァンス)
刑事ポール・ベセル( フィリップ・グレニスター)
30年前のポール・べセル(スコット・アーサー)
刑事フィル・バッハ・リース(ステファン・ロドリ)
30年前のフィル・バッハ・リース(シオン・アラン・デイヴィス)
刑事ゲラント・ベイル(ギャレス・ジョン・ベイル)
コリン・ダーク博士(リチャード・ハリントン)
被害者の少女ジェラルディン・ヒューズ(カリスタ・デイヴィス)
被害者の少女ポーリン・フロイド(ジェイド・クルート)
被害を免れた少女シタ・アンワル(プリヤンガ・バーフォード)
30年前のシタ・アンワル(ナターシャ・ヴァサンダニ)
ジェラルディン・ヒューズの父デンバー・ヒューズ(ウィリアム・トーマス)
30年前のデンバー・ヒューズ役(グリファズ・グリン)
サンドラの義父ダイ・ウィリアムズ(キース・アレン)
30年前のダイ・ウィリアムズ(リース・ラスバッチ)
ジョセフ・カッペン(アナイリン・バーナード)
ジョセフの妻クリスティーン・カッペン(マリア・プライド)
30年前のクリスティーン(レミー・ビーズリー)
#1「DNAという新たな証拠」
DNA鑑定により、30年前に発生した未解決の連続レイプ殺人事件の証拠が見つかった。当時捜査を担当していた刑事のポール・ベセルは再び事件を捜査する事になった。旧知のフィルと新顔のゲラントの3人で捜査班を結成。最初の被害者はサンドラだったと考えていたポールは、サンドラの前にも犯人が事件を起こしていたのではないかと考え、30年前の事件を調査していく。その被害者の中にフィルの友人のジェーンがいた。
#2「結びついた2つの事件」
DNA鑑定を進めるポールだったが、最も疑っていたダイ・ウィリアムズが犯人ではないと確定した。犯人の特徴と一致するウィロビーという男が新たに容疑者として浮上するが、ウィロビーにDNA採取を拒否されたため、照合できない。コリン博士は親族のDNAを手に入れられれば、犯人のDNAと照合できると提案する。
#3「真犯人の遺伝子」
コリンは犯人の遺伝子マーカーをもとに、データベースから13名の候補者を割り出した。その中の1人ポール・カッペンの父親ジョセフ・カッペンは容疑者の1人だった。彼は犯人と同じ車を所有していたため事情聴取されていたが、事件当日、車は修理中で彼は家にいたと妻クリスティーンが証言していた。確認のために家を訪れたポールたちは、ジョセフが既に死んでいることを知らされる。
#4「残酷な結末」
コリン博士の提案した方法では75%の確率で、カッペンが犯人だと言う。だが、75%で遺族は満足するのか、犯人だという確実な証拠を求めるポールは、彼のDNAを採取するために墓から遺体を掘り起こす許可を得ようと奔走しする。一方、フィルはカッペンが犯人ではない可能性も考え、ポールには内密でもう1人の有力な容疑者であるウィロビーのDNAを採取しようとする。事件発生から30年にわたって苦悩を抱え続ける遺族や関係者達に救いは訪れるのか。
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最初は、30年前と現在の映像が頻繁に変わるので、少し内容が解りにくかった。1話は30年前の事件をやっても良かった気がする。1話の後半からは人間関係が解って引き込まれていった。
ジェラルディンとポーリン、シタは16歳、同じ工場に勤めていて仲が良かった。一緒に遊びに行こうとしてパブで待ち合わせた3人。遊びに行く前にシタだけが父に見つかり連れ戻されてしまう。シタは助かり他の2人は被害にあってしまう。
30年後のシタは校長先生になっている。だがこの事件の影響は大きかったみたいで、事件の話を誰にも出来ず、罪悪感と喪失感を1人で抱えてしまっている。その十字架を1人で背負っているシタが悲しすぎる。シタ役を演じたナターシャ・ヴァサンダニさんがよかった。
遺族の中で唯一遺体を見てしまったジェラルディンの父デンバーとシタが、30年後に2人で話すシーンが切なかった。シタの遠くから見守り、成長していく姿を嬉しく思っていたというデンバー。会うとジェラルディンを思い出すだろうと思って、どうしていいか解らなかったというシタ。お互いを思いやって遠くから見守る事しか出来なくなってしまった。
犯人の妻クリスティーン、夫に虐げられ恐ろしい目にあっていて偽証した。暴力を振るわれた記憶はそう簡単に薄れないらしく、夫が亡くなっても恐怖が続いているみたいだった。そういう思いを抱えて生きていくのはどんなに辛いだろう。
刑事のポールは2人の事件の前に起きたサンドラの事件も同じ犯人ではないかと言うのだが、空気を読まずに発言するので当時は相手にされなかった。だがサンドラも同じ犯人の被害者だった。ちょっと思い込みすぎかなと思う時もあるけど、彼のような人がいないと事件を解決できない気がする。30年後もやはり突っ走る。そしてフィル、4話ではポールと言い合いになる。お互い思った事が言える間柄だからこそ組めるいいコンビ。突っ走り気味のポールのいい相棒だと思う。
30年後のポールの上司もいい。女性なのだけど決断力がいい。前代未聞の遺体発掘してのDNA捜査。もし間違ったらと言う部下に、そうなったら責任は警察が取ると言い切る。いくらポールが奔走してもあの上司じゃなければ、事件は解決できなかったかもしれない。
遺体発掘には犯人の遺族も悩む。発掘前には犯人だと解ってるわけではないので、身内を信じたい気持ちもわかる。だがフィルが遺族の気持ちを話すと理解してくれる。事件の詳細が解らない、犯人が解らないでは、気持ちの整理すら出来ない。
30年前に犯人だと疑われたサンドラの義父ダイ。DNA鑑定のニュースを見た妻が、こんなことをしても何もならないと嘆いた時、自分は期待してると言う。犯人が捕まらない限り、彼は義理の娘を殺したかもしれないと周囲に思われ続けると言う。それを聞いて妻は夫に寄り添う。娘を無くした母、疑われた義父、辛すぎるだろう。
事件の影響が大きすぎる。解決しないというのはこんなに大勢に被害が出るのかと改めて目の当たりにされた気がした。カッペンはウェールズ史上初の連続殺人犯ともみなされていて、他の事件の容疑もかかっているらしい。どれだけ未解決の事件があるんだろう。
犯人役のアナイリン・バーナード、好きな人がいそうな顔立ち。そのうち人気が出るだろうか。