ペンブルックシャー・マーダー21年目の真実#3

全3話。21年前の未解決事件、2006年から11年にかけて行われた、警察の捜査の実話に基づいて描かれたサスペンス。


◆制作
 原題:The Pembrokeshire Murders 2021年 イギリス

◆キャスト
警視:スティーヴ・ウィルキンス(ルーク・エヴァンス)
犯人:ジョン・クーパー(キース・アレン)
警部補:エラ・リチャーズ(アレクサンドリア・ライリー)
ジャーナリスト:ジョナサン・ヒル(デヴィッド・フィン)
刑事:ガレス・リース(チャールズ・デイル)
犯人の妻:パット・クーパー(キャロライン・ベリー)
クーパーの息子:アンドリュー・クーパー(オリヴァー・ライアン)
ジャック・ウィルキンス(ステファン・セニード)

◆あらすじ
#3審判のとき
クーパーの妻が亡くなった。犯罪の被害者か病死か解らないため、病理学者からの連絡を待つ間、警視は周辺の捜索をはじめる。そこへ病理学から電話が入る。妻パットは病死だという。警視は息子のアンドリューに謝罪するが、警視のせいではない、母は自分の死を予測していたと言う。しかし妻がいなくなると、さらにクーパーは危険になることが予想された。クーパーを逮捕したら、彼は誰かを襲うつもりだったようで、車には道具が揃っていた。

証拠写真を調べていた警視は、1つの短パンに注目する。それは写真の色が変わっている可能性があった。警視たちは実物を見に行く。写真は青だったが実物はカーキ色だった。ただし丈が短かった。どうやら仕立てなおしたらしい。しかも前立てがなく女性物だという事が判明する。

この証拠は検査に回した。短パンの裾をほどいて露出された部分の繊維をテープで採取して調べたら、かすかにシミがついていた。そこで詳しく調べたら小さな血液の固まりを見つけた。その血液はピーター・ディクソンのものだった。

短パンのポケットの綿埃からはクーパーの髪の毛と皮膚細胞が見つかった。また証拠物件となっていた黒い手袋の繊維も見つかった。

黒い手袋の中に、リチャード・トーマスが履いていた靴下の繊維が見つかった。靴下は被害者の遺体から回収されたものだった。そして靴下には手袋の繊維がみつかった。また手袋には別の繊維も付着していた。ノルトンヒルエステートでレイプされた被害者の衣服の繊維と一致した。ショットガンをペンキで塗ったその下からは、ピーター・ディクソンの血液が見つかった。

警視たちは捜査した全てを報告し、検察は全ての事件をまとめて訴追する決断をした。

ノルトンヒルエステートでレイプされた女性に証言を頼むが、女性は夫にレイプされたことを話してなかった。またもう1人は引きこもってしまっていて精神的に問題を抱えていた。男性たちも最初の捜査で行き違いがあり、協力は望めなかった。

裁判がはじまった。クーパーの息子が証言する事になった。クーパー側の弁護士は息子を責め立てる。が、息子は反論する。ノルトンヒルエステートで被害にあった女性は2人とも証言する事を承諾した。被害者の一人の容体が悪化して亡くなったことで、あの被害にあった全員のために、ビデオではなく法廷にたって証言する事を決めたという。

息子や被害者の証言の後、クーパーが直接無実を訴えた。検察側は証拠物件の目なし帽は、クーパーのものかと聞く。彼は自分のものだと認めた。だが前回の裁判で、目なし帽を自分のものではないと証言している。前回は嘘をついたのか、どちらが真実なのかと問われる。クーパーは前回の裁判の時は、記憶違いをしていたと言う。

評決が出た。すべての件について有罪が出て終身刑になった。

警視の息子は警察官を目指そうと思うと父に言う。クーパーの息子は母の墓の前で「家を出ないで話せばよかった。母さん、ごめん」とつぶやいた。

***

判決が下される時、息子がしっかりクーパーを見ている姿が、想いを表してる気がした。墓前でつぶやく息子の姿も胸を打った。
平然としていたクーパーが、人のよさそうな感じで無実を訴え、検察側の質問に態度が崩れていって、最後に本性が現れる感じもいい。

主演のルーク・エヴァンスは、誠実に事件に取り組む警視がぴったりだったし、マスコミ役の人との連携も、それぞれの思いがあって微笑ましかった。犯人のクーパー役のキース・アレンは、時々姑息な顔や残忍な一面が出る感じで怖かったし、父に虐待されてた息子役のオリヴァー・ライアンは、父母に関わりたくないと思う反面、母を思い父を憎んでいる心境が出てた。3話によく収めたなと思う。